手作りの楽しさを ダンボールで

hacomo株式会社 COO 岡村 剛一郎さん

Interview

2014.04.03

たった一人で始めたプロジェクトが、今では一つの会社になった。

2010年に富士ダンボール工業株式会社から分社したhacomo株式会社。COOの岡村剛一郎さん(36)は、富士ダンボール工業の一社員だった。岡村さんがパッケージデザインを行う「Dプロジェクト」が全ての始まりに。「社長は『ビジネスとして成り立つか分からないが、とりあえずやってみろ』と任せてくれました」。05年のことだった。「"おもしろい"で未来を拓く」が富士ダンボール工業のキャッチコピー。面白いか面白くないかを基準にしたとき、Dプロジェクトは前者だった。ダンボールは梱包材として、企業間で取引することがメーンだったが、岡村さんは07年に個人向け商品を開発。それがダンボール素材の工作キット「hacomo」だ。

飛躍のきっかけとなったのは、テレビ番組への出演。ダンボールを使って、バイクを細部まで再現し「ダンボール王」と紹介された。その後「こういうものは作れないか」と、問い合わせが相次いだ。プロジェクトメンバーは次第に増え、10年に会社設立の運びとなった。

「hacomo」は、台紙からパーツを取り外して組み立てると、一つの作品ができ上がる。かわいらしいウサギや迫力ある恐竜、電車など種類はさまざま。「hacomo kids」や「hacomo box」、「のりものシリーズ」など種類は増え、商品数は100を超えた。製造は社内で行い、大型商品は富士ダンボール工業の協力も得る。使用するダンボールは1ミリから1.5センチまで、厚さも強度も作るものによって異なる。

商品の特徴は、量産できる設計であることと、のりとはさみを使わずに子どもが組み立てられるものであること。「ゲームやインターネットばかりでなく、ものを作って遊ぶ楽しさを知ってほしい。色塗りも楽しめるよう、ほとんどの商品を白地にしています。組み立てに道具がいらないので、ワークショップでも使ってもらいやすいのでは」。一枚のダンボールの中に、無駄なくパーツが収まったとき、岡村さんは喜びを感じる。「まずパッケージのサイズを決めてから、キットの設計図を描きます。輸送コストを抑えることや、店頭でのディスプレイのしやすさを重視していますね」

商品はホームページでの販売のほか、全国のミュージアムショップやデパートなどでも販売されている。「梱包用のダンボールは、100キロ圏内の商売だと言われていますが、『hacomo』はここから全国や世界に向けて発信できます。多くの人に作る喜びを感じてほしい」

商品名と社名の由来は、「箱を作る会社だから」というわけではない。「happy communication」から「hacomo」と名付けた。単なる工作キットではなく、コミュニケーションのツールになるようにとの思いが込められている。子どもが工作をすれば、親は自然と手伝う。そこに新たなコミュニケーションが生まれることが狙いだ。

子ども向けの工作キットのほかにも、ダンボール家具の「dan-cag」や、ダンボールで作った遊具を貸し出す「ダンボール遊園地」なども展開。今年2月に発売した「BLACK LABEL」は、大人向けの「hacomo」。子ども向けキットのパーツは10~20個だが、こちらは100個ほど。黒色で重厚感のある仕上がりになる。

「何もかもダンボールで作ろうとは思っていません。『これがダンボールで良かった』と思えるものを作りたいですね」

岡村 剛一郎 | おかむら こういちろう

1977年6月26日 さぬき市生まれ
2000年3月 岡山理科大学 卒業
2000年4月 富士ダンボール工業株式会社 入社
2010年11月 hacomo株式会社分社化 COO就任
写真
岡村 剛一郎 | おかむら こういちろう

hacomo株式会社

所在地
東かがわ市湊1860-1
TEL
0879-23-0055
事業の概要
ダンボール商品の企画販売
資本金
1,000万円
社員数
7人(内パート2人)
URL
http://www.hacomo.com
確認日
2018.01.04

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