
四国能開大4年生の皆さん
左端:製造部 白井 冬馬さん(高瀬高校出身)
左から2人目:製造部 春名 太陽さん(岡山・作陽高校出身)
葵機工の「産学連携」
金属加工に使う工具はどうしても摩耗する。予期せぬトラブルは生産性に大きく影響するため、データをもとに工具の寿命を予測できないかというのが葵機工の掲げたテーマだ。実際に工具を使う同社の技術者が現場目線で監修に当たり、システム開発は四国能開大生産電子情報技術・生産機械システム技術・生産電気システム技術科の学生ら16人が担当。同校の「開発課題」の一環として1年がかりで取り組む内容で、各科で学んだ知識を共有しながらチームで一つのものづくりに挑む、学びの集大成としての位置づけだ。
学生にとっては「人・時間・お金をしっかり使って結果をきちんと出す」リアルな企業のものづくりを経験するチャンスであり、葵機工にとっては対・企業とは違うかかわりを通じて技術者たちが成長できる場だ。未来の技術者たちに向けて、自社のものづくりを知ってもらうPRのチャンスにもなる。
2年目の今年は同社と学校の連携もさらに深まり、学内の実習にも立ち会うなどお互いのコミュニケーションと情報共有を大切にしながら、ハイペースで開発が進行中。2年越しの成果を期待するとともに、今後も違うテーマでさらなる連携は続けていきたい考えだという。
プロジェクトを通して感じていることは。
田中 他の科や外部と連携する機会はあまりなかったので、チームで話し合って進めていくところに団結の魅力と達成感を感じています。
溝渕 予測まではできなくても、データがとれるところまでは実現したい。予測には情報が必要で、データがちゃんとしていればアプローチはいろいろできると思うんです。
課題はありますか。
春名 私たちは一日中機械を動かしていますから、「こういうデータが欲しい」と言ってもらえたら提供できるし、こちらの現場をどんどん巻き込んでくれたらいいんですよ。お金がかかることも、企業にとっては結果を出すための投資です。要望を出していいのか迷って最後に「本当はもうちょっとできたはずなのに」と悔しい思いをするよりも、企業の力をうまく使ってください。
坂田 後から根本がズレていたことが判明するより、しっかり情報共有するのが大切ですね。今年はその姿勢も大事にしたいと思います。
春名 皆さんには、先輩が残したノウハウに自分たちなりの創意工夫をプラスしてチャレンジする姿勢を感じます。私は入社後にゼロからOJTで技術を身につけたので、プロジェクトは自分自身の学び直しにもなっているんです。
白井 きちんとまとめてからと考えず「こんなデータが取れたけど、どう?」みたいな、小出しの連絡も歓迎しますよ。皆さんの開発したシステムを現場に活かすのが、私たち技術者の目標です。そのために、とことん皆さんに協力する覚悟もあります。目的がはっきりしてるんだから、迷わず攻めていきましょう!

写真左から 製造部 春名太陽さん(岡山・作陽高校出身)
製造部 白井冬馬さん(高瀬高校出身)
四国能開大 生産機械システム技術科 田中悠督さん
同 生産機械システム技術科 坂田継人さん
同 生産電子情報システム技術科 福田祐輔さん
同 生産電子情報システム技術科 溝渕真衣さん
◆キーワード
産学連携

葵機工株式会社
- 住所
- 香川県高松市朝日町3丁目7番5号
- 代表電話番号
- 087-822-5025
- 設立
- 1972年3月
- 事業内容
- ・インフレーター、ガスジェネレーター部品
・ガス、油圧バルブ 他
・頭脳モーター部品
・半導体装置部品
・SUS、コバール、ベリリウム、バイタリウム 等、難削材の切削
・設計、加工、組立 - 地図
- URL
- https://www.aoikikou.co.jp
- 確認日
- 2024.09.19
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