既存の高い技術で差別化し
成長分野への進出を目指す

大倉工業

Tec✕Tec

2024.09.16

後列左より 新規材料事業部 宮田寛之さん(坂出工業高校出身)、R&Dセンター 内海佳奈さん(高松第一高校出身)・冨野舜介さん(高松西高校出身) 前列左より 法務・知財部 三宅麻奈美さん(善通寺第一高校出身)、総務・人事部 松岡梨奈さん(善通寺第一高校出身)

後列左より 新規材料事業部 宮田寛之さん(坂出工業高校出身)、R&Dセンター 内海佳奈さん(高松第一高校出身)・冨野舜介さん(高松西高校出身)
前列左より 法務・知財部 三宅麻奈美さん(善通寺第一高校出身)、総務・人事部 松岡梨奈さん(善通寺第一高校出身)

大倉工業の「新規事業創出」

経営を取り巻く環境が激変する中、自社がもつ独自の技術を活かして新製品を開発、新たな市場を目指すのも企業が成長する一つの方法だ。大倉工業は、食品包装から産業資材まで様々なプラスチックフィルムを提供する「合成樹脂事業」、スマートフォン向け光学フィルムなどの高機能製品を手掛ける「新規材料事業」、住宅用などの材料を製造する「建材事業」という3つを柱に展開。これらの事業で培ったコアな技術を活かした新製品開発、新規事業創出にも取り組んでいる。

その一つが、国も実用化に力を入れている「ペロブスカイト太陽電池」だ。現在よく見かける黒い大型パネルの「シリコン系太陽電池」は発電効率が高い反面、設置場所が限られる。ペロブスカイト太陽電池は材料をフィルムなどに塗布・印刷してロール状で生産でき、低コスト、軽量かつ薄型、折り曲げ可能といったメリットがある。その生産過程で、大倉工業がもつフィルムの「製膜」やフィルム表面に材料を「塗工・印刷」する技術を活かせるのが最大の強みだという。

現在は発電効率を上げる方法などについて研究しながら開発を進める。同時に、新製品開発、新規事業創出の際は自社の価値ある技術やアイデアなどを知的財産として守る体制も整備。社内全体で、次世代の成長分野への参入や新市場開拓を目指している。

どのような事業に関わっていますか。

法務知財部 三宅 麻奈美さん(善通寺第一高校出身)

法務知財部 三宅 麻奈美さん(善通寺第一高校出身)

冨野 将来に向けた新規事業創出を手掛けるR&Dセンターで、ペロブスカイト太陽電池にも携わっています。まずは発電効率を上げること、あとは耐久性向上や薄型化など製品化に向けて様々な実験を続けています。

三宅 開発している様々な製品について、特許侵害の危険性はないか、どうすれば回避できるか、会社の知財を守るには……といったことに関わる業務です。特許申請となると従来技術を把握するため過去の文献を読み込んだり、社内の技術者と発明内容について話をしたりと根気よく進める必要があります。知財について社内向けの研修を行うこともあります。

おもしろいと感じることは。

三宅 大学は工学部だったので、もともと技術に興味がありました。社内で開発されている様々な製品、会社の最先端技術を知ることができるのはおもしろいですし、幅広い分野の知識が身に付きます。また、知財を守ることは利益につながり会社の価値も高める一方で、一定期間たつと知財が公開されて産業全体の技術発展にも貢献できるので、やりがいがあります。

冨野 試行錯誤を繰り返しながら「発電量が上がった!」など、成果が出ると楽しいです。薄くて折り曲げ可能という特性を活かせば、今まで太陽電池を設置できなかった建物の壁面、IoTデバイスや自動車にも実装……と市場が広がることが予想できます。多くの企業が開発に力を入れている最先端の分野に関わり、新しいものを開発しているので日々、充実しています。

今後、力を入れたいことは。

R&Dセンター 冨野 舜介さん(高松西高校出身)

R&Dセンター 冨野 舜介さん(高松西高校出身)

三宅 特許出願の仕方にもいろいろあって、先輩たちは「こういう方法もある」というアイデアが多くていつも感心しています。様々な特許を調べて勉強し、自分の引き出しを増やしたいです。ほかの部署や外部の機関と相談、連携する機会も多いので、コミュニケーション力も磨いていきたいと思います。

冨野 私も、知識の引き出しを増やしたいと思っています。太陽電池は新しい分野で知らないことの方が多く、開発に関わるチーム全体で情報共有しながら知識を増やしている感じです。自分から積極的に論文などを探して「こういう情報があります」と発信できるようにしたい。論文は英語が多いので、英語の勉強も頑張りたいと思っています。

◆キーワード


ペロブスカイト太陽電池

自然界の鉱物・灰チタンと同じ構造をもつペロブスカイト構造の材料で製造された太陽電池。大学の研究がきっかけで注目され、材料をフィルムに塗布してつくるため低コスト、軽量で折り曲げられる、主原料のヨウ素の生産量で日本は世界シェア2位と安定的に確保できるなどのメリットがある。海外での開発競争も激化しており、政府は早急な社会実装化を目指して、量産技術の確立、生産体制の整備、需要の創出などを進めている。

大倉工業株式会社

住所
香川県丸亀市中津町1515番地
代表電話番号
TEL.0877・56・1111/FAX.0877・56・1230
設立
1947年7月11日
社員数
単独 1,052名、連結 1,904名(2023年12月31日現在)
事業内容
各種ポリエチレン製品及びポリプロピレン製品の製造販売、光学機能性フィルム等の製造販売、パーティクルボード、加工ボード及び加工合板等の製造販売、木材加工、宅地造成及び建物建築の販売
資本金
86億1900万円
グループ会社
関西オークラ、関東オークラ、九州オークラ、オークラプロダクツ、オークラホテル、オークラハウス、ユニオン・グラビア、オークラプレカットシステム、オークラ情報システム、オー・エル・エス 他
地図
URL
https://www.okr-ind.co.jp/
確認日
2024.09.19

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