市場のニーズを的確に捉えながら
新事業「農業分野」にも挑戦する

大倉工業

Tec✕Tec

2023.11.27

(前列左から)合成樹脂事業部 野島嘉人さん(丸亀高校出身) R&Dセンター 内海佳奈さん(高松第一高校出身) (後列左から)人事部 成岡竜八さん(三本松高校出身) 人事部 徳永圭宏さん(坂出商業高校出身) 総務広報部 佐藤綾帆さん(高松商業高校出身)

(前列左から)合成樹脂事業部 野島嘉人さん(丸亀高校出身)
R&Dセンター 内海佳奈さん(高松第一高校出身)
(後列左から)人事部 成岡竜八さん(三本松高校出身)
人事部 徳永圭宏さん(坂出商業高校出身)
総務広報部 佐藤綾帆さん(高松商業高校出身)

新商品として発売されたモノが時代の変化によって成長、成熟、衰退というサイクルをたどるように、企業の事業活動にもライフサイクルがある。競合の増加や市場の変化などにより、既存の事業だけでは成長に限界が訪れることもある。

大倉工業では、柱となる事業を絶えずブラッシュアップすると同時に、近い将来新たなニーズが生まれる可能性がある分野の研究、新商品開発、新事業創出にも力を入れている。現在は、食品包装から産業資材まで様々なプラスチックフィルムを製造する合成樹脂、スマートフォンなどのディスプレイ用光学フィルムといった商品を製造する新規材料、建材の3事業を中心に展開。これらの事業を通して「製膜」、機能の違うフィルムをミクロン単位で合わせる「貼合」、物質から特定成分を分離する「抽出」といった技術が蓄積されてきた。

その一つ、製膜技術を活かした商品には鮮度保持の機能をもつ食品包装フィルムがある。フィルムによって消費期限を延ばすことができ、フードロス削減に貢献した。

また、新分野への挑戦として「農業」での新事業創出も目指している。具体的には、今まで廃棄されていた植物の葉や茎などから有効な成分を抽出し、化粧品やサプリなどに活用する研究だ。将来のニーズをいち早く見出し、技術と人材で応えていく。

開発職としてどのような業務に 携わっていますか。

R&Dセンター 内海 佳奈さん(高松第一高校出身)

R&Dセンター
内海 佳奈さん(高松第一高校出身)

【野島】食品パッケージ、産業資材、農業用シートといったプラスチックフィルムを幅広く手掛けています。鮮度保持、気密性……求められる様々な機能に対してフィルムを何層も重ねるのか一枚なのか、どんな素材を混ぜて樹脂を作るか、厚さ、製造方法などを考える設計や試作も行います。

【内海】農業で使う新素材のフィルム、というのではなく全く新しい事業として「農業」分野に挑戦しています。今まで捨てていた葉や茎などから成分を抽出して、どんな成分があるのか、成分の機能などを調べて新たな商品開発につながるよう研究しています。

顧客の声をどう開発に 活かしていますか。

合成樹脂事業部 野島 嘉人さん(丸亀高校出身)

合成樹脂事業部
野島 嘉人さん(丸亀高校出身)

【内海】近年、消費者の健康意識の向上から、有機溶剤不使用・自然派のヘルスケア・スキンケア製品の需要が高まっています。そのため、水だけで効率的に成分を抽出する独自の技術を使用しています。また、香川県の県花・県木であるオリーブの未利用部位を活用するためオリーブ葉由来のエキスを開発し、環境に配慮した製品づくりもしています。

【野島】水と二酸化炭素に分解される生分解フィルムや再生原料を使ったフィルムなど、環境配慮商品への要望が高まっています。「こんな機能がほしい」という声を形にするのは難しいですが、合成樹脂事業は70年以上の歴史があるので素材や製造方法に関するデータや知見がそろっている。それをベースにすることで、スピーディーに開発できるのも強みです。

仕事のおもしろさと、 今後の目標は。

【野島】この成分を入れればこういう機能をもつのでは、という仮説がぴったりはまるとおもしろい。いま開発中の製品について社内の技術発表会でプレゼンした際、いろいろなアドバイスをいただきました。それを活かして自分が担当した製品を生産までもっていきたいです。

【内海】廃棄されていたものを私たちが買い取ることで生産者の利益にもなり、地域課題解決に貢献できていると感じます。今後は、エキスを使った新たな製品をつくりたいと思います。

高校の時にやっておいた方がいいこと

内海さん
高校の時グループでテーマを決めて研究する授業があり、研究職に興味を持ちました。おもしろいという思いを大切にしてください。

野島さん
仕事をする上では知識だけではなく、考える力も大切。気になったことはすぐ調べて考えるくせをつけるといいかもしれません。

◆キーワード


抽出

原材料に含まれる特定成分を分離する操作のこと。湯を注いでコーヒー豆に含まれる味や香りなどの成分を抽出するのもその一例。原材料は液体の場合と固体の場合があり、対象となる成分の沸点や溶媒への溶けやすさ、密度の差などを利用して分離する。分離技術には、蒸留、加圧熱水抽出(イラスト)、溶媒抽出、クロマトグラフィーなどがある。

大倉工業株式会社

住所
香川県丸亀市中津町1515番地
代表電話番号
TEL.0877・56・1111/FAX.0877・56・1230
設立
1947年7月11日
社員数
単独 1,042名、連結 1,935名(2022年12月31日現在)
事業内容
合成樹脂事業、新規材料事業、建材事業 他
資本金
86億1900万円
グループ会社
関西オークラ、関東オークラ、九州オークラ、オークラプロダクツ、オークラホテル、オークラハウス、ユニオン・グラビア、オークラプレカットシステム、オークラ情報システム、オー・エル・エス 他
地図
URL
https://www.okr-ind.co.jp/
確認日
2023.09.21

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