
麦秋(写真提供:高松市観光交流課)
「讃岐の人は牛や馬のように麦を食べる」。これは明治時代に東北の方が新聞に投稿したフレーズと伝えられています。それでは、どれ程の量の麦を食べていたのでしょうか?今から81年前、1934年(昭和9年)のデータをご覧ください(表1)。麦と米の作付け面積がほぼ同じことに驚かれると思います。香川県オリジナル小麦「さぬきの夢」の作付けが増えてきた現在でも、当時の作付け面積には到底及びません。麦秋という言葉があるように、初夏の讃岐平野には稲が実るがごとく麦が色づいていたこと、そして食べていたことが想像出来ます。

小麦は貯蔵が効いて使い勝手の良い食材として重宝されてきました。日常的には、裸麦は麦飯に、小麦は団子、打ち込み汁等といろいろな料理に姿を変えました。そして「ハレ」の日には手間と時間をかけうどんを作りました。また麦味噌、醤油、家畜の飼料に、そして麦わらは麦稈真田(ばっかんさなだ)などの民芸品と、実に多岐にわたり活用され、先人の胃袋と家計を潤してきました。
讃岐の食生活における麦への依存度は数値的にも明らかになっており、総務省が行っている全国家計調査によると、高松市ではうどんだけでなく、パンや小麦粉の消費量が多いのです(表2)。一方で、お米の消費量は全国でも最低レベル。過去何百年の間に築き上げられた食生活が、今もなお私たちの生活の中に息づいていることには驚きますね。

【食材紹介】細ネギ

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん
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