「讃岐の食文化」の素朴な疑問⑦

野菜ソムリエ上級プロ 末原 俊幸

column

2022.10.06

香川県でお寿司(ちらし寿司)をいただいたのですが、とても甘く感じました。

讃岐の食文化のうち特徴的なものとしては、「うどん」と「あん餅雑煮」が有名ですが、もう一つ「ばら寿司」を忘れてはなりません。

香川県では、様々なシーンでばら寿司(ちらし寿司のこと)を見かけます。例えば、うどん屋のサイドメニューとしてばら寿司は欠かすことはできませんし、香川県内のイベントでは、うどんとともに、パックに入ったばら寿司が売られているシーンをよく見かけます。

現代でこそ、日常的に寿司を食べるのですが、今ほど安定的に食料供給ができなかった時代は、米はとても貴重な食べ物でした。中でも、ばら寿司は、米をふんだんに使っているだけでなく、季節の食材を彩りよく飾り、見た目も美しいハレの日の料理でした。現代でも香川県内でばら寿司がよく食べられるのは、当時のハレの日の食文化が、知らず知らずのうちに日常的な食文化として根付いた結果なのでしょうね。

そしてもう一つの特徴が、寿司飯の甘さです。香川県に住んでいると気が付かないのですが、県外から来られた方は、口々に寿司飯の驚異的な甘さに驚かれます。

レシピからも、その甘さを確認することができ、一般的な寿司飯の調合は、酢の量に対して砂糖は3割程度なのですが、讃岐の寿司飯のレシピでは酢と同量の砂糖を使用します。予備知識なしに、酢1に対して、同量の砂糖を入れる寿司酢を作ろうとなると、なかなか砂糖が溶けきらず、「このレシピは本当に正解なのか?」と不安になってしまうほどです。

しかし、讃岐の甘い寿司飯はとても魅力的な味であり、ひとたび讃岐の甘いばら寿司の味を知ってしまうと、砂糖の効いていないばら寿司には物足りなさを感じてしまうほどです。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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