日本の税金 第3版

著者 三木義一/岩波書店

column

2018.11.01

今後どう風向きが変わるか分かりませんが、いよいよと言えばいいのでしょうか、やっとと言えばいいのでしょうか、消費税が2019年10月1日から10%に上がる予定です。

ところで私たちはどのくらい税金のことを理解しているのでしょうか。正直なところ私は税制の基本からほとんど理解していないと、この本を読んでつくづく思い知らされました。

もっとも日本の所得税収で申告によるものは6分の1で、残りは源泉徴収ですませています。その大部分はサラリーマンで、つまり私たちはほとんど税制に関与していないので、税制に無関心か、ただ不公平感だけを募らせています。

著者はこの本で所得税から始まって、法人税、消費税、相続税、間接税、地方税、さらには経済のグローバル化によって大きな問題になっている国際課税までを取り上げ、その問題点と課題を指摘していきます。

そして、高い税負担率なのに重税感が少ないといわれる北欧諸国と、低い税負担率なのに重税感の強い日本との差は、税金は取られるもので、何に使われているかよく分からず、税を払ったことによる恩恵を実感出来ない政治の質の差だと著者は述べます。

選挙は税制を狂わせると言いますが、民主主義は有権者の自律性と自立性が乏しければポピュリズムに陥ります。税金のことはよくわからないという前に是非一読してみてください。

「税制度は、人間が人間社会のために決める約束事に過ぎない」と著者は締めくくります。

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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