立冬と讃岐の柿文化

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸

column

2018.11.01

干し柿用の品種、愛宕柿

干し柿用の品種、愛宕柿

家計調査(総務省統計局)において、高松市の生鮮果物の購入数量が全国3位(2015~17年の平均)という結果が発表されました。中でも、特に多く消費されている果物がミカンや柿、桃。これらの品目は、いずれも香川県内に産地のある香川県の主力果物であり、全国に向け出荷される一方で、地元の店頭も賑わし、讃岐の果物の消費文化を下支えしています。
さぬき市や三木町で古くから栽培されている碁盤柿

さぬき市や三木町で古くから栽培されている碁盤柿

さて、11月は柿のシーズン。店頭には、品種、数量ともに多くの柿が出回ります。香川県では、果肉の堅い甘柿に人気があり、数多い柿の中でも主力品種が「富有柿」です。香川県においては、明治40(1907)年頃には「富有柿」の産地化が始まり、全国に先駆けて大阪市場への出荷が始まっています。
香川県に古くから植えられている大宮早生

香川県に古くから植えられている大宮早生

昭和4(1929)年の新聞記事には「10月15日より大阪市場に出荷始まった讃岐富有柿は1貫(3.75㎏)あたり2円、主産地である岐阜県(1円30銭)、岡山県(1円25銭)を差し置いて、高値で取引されている」との表記があり、当時の過熱ぶりを感じることができます。

当時の人気は現代でも、「香川(香川町)の柿」「千疋(綾川町)の柿」というフレーズとなって残っています。

一方、甘柿だけでなく、渋柿も店頭に並びます。香川県では、立冬を迎えたるあたりから、一軒家の軒下だけでなく、マンションのベランダにも干し柿が吊るされるという風景が現れます。家庭で干し柿を作ることにはまだまだ根強い人気があり、干し柿専用の渋柿が、11月をピークに大量に出荷されます。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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