「景気は悪くなる」が約6割

消費増税に関するアンケート調査 東京商工リサーチ

Research

2018.11.15

政府は10月15日、消費増税を予定通り2019年10月1日に実施すると表明した。東京商工リサーチでは、全国の企業に増税の影響を調査。増税を「延期・中止すべき」が49.5%と半数を占め、増税で景気が「悪くなる」と懸念する企業は57.8%に達した。

※本調査は18年9月14日~30日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答8,298社を集計、分析した。資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。

Q1.増税の時期について

東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

アンケートに回答した8,298社のうち、「予定通り実施すべき」は3,903社(構成比47.0%)。一方、「時期を延期して実施すべき」は1,768社(同21.3%)、「増税を中止すべき」は2,337社(28.2%)で合計49.5%と、消費増税の延期、または中止を求める声が僅差で上回った。

Q2.増税で景気は?

東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

「景気は悪くなる」が4,798社(構成比57.8%)で6割弱を占めた。次いで、「景気は現状維持」が3,089社(同37.2%)、「景気は良くなる」はわずか138社(同1.7%)だった。

Q3.軽減税率の影響は?

東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

「影響はない」が4,332社(構成比55.9%)で、半数を超えた。「マイナスの影響がある」は1,346社(同17.4%)、「プラスの影響がある」はわずか328社(同4.2%)だった。

Q4.商品・サービスへの価格転嫁は?

東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

増税分の商品・サービスへの価格転嫁について、最多は「増税分すべてを販売価格に転嫁する予定」が4,132社(構成比54.3%)と半数を占めた。「転嫁しない予定」は1,057社(同13.9%)だった。

Q5.値引き要請を受けたことは?

前回の増税を含め、これまで取引先の最終販売価格維持のため、値引き要請を受けたことがあるかを聞いたところ、最多は「ない」で5,173社(構成比68.0%)だった。「増税分の値引き要請があった」は1,757社(同23.1%)、「増税分以上の値引き要請があった」は516社(同6.8%)と、合計すると約3割の企業が何らかの値引き要請を受けたと回答した。

消費増税の前には駆け込み需要とその反動が話題になる。これまでの消費税の引き上げと、倒産との相関関係をみる限り、駆け込み需要がその後の反動減をある程度吸収し、増税による資金繰りへの影響は半年から1年後に現れているようだ。また、倒産は引き上げ時の景気にも左右され、必ずしも消費増税が倒産増加に直結するとは限らない。今回の増税は、倒産にどう影響するか注目される。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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