意思を強く、為せば成る

四国経済産業局長 成瀬 茂夫さん

Interview

2016.01.21

愛知県名古屋市出身。前職は内閣府の地方創生担当だ。「四国・香川は非常に多様なポテンシャルのある地域だと思います。産業の他、自然や文化、歴史、伝統などいろいろと豊か。初めての地方勤務で四国に来られて、ありがたいですね」

情景描写を楽しむ読書

スポーツマンではないと言うが、学生時代には野球やバレーボールなどで汗を流した。今は時間がある時にウォーキングをしている。着任後は高松の商店街を歩いた。他にもジョギングやテニス、読書を楽しむ。心理学や社会学などの新書、推理小説を好んで読む。学生時代はアーサー・コナン・ドイルの小説をよく読んだ。繰り返し何回も読んだのは、夏目漱石の「草枕」。美しい情景描写や言葉の使い方を好む。今は香川や四国に関する本も読んでいる。

大学は理学部で地質鉱物学を学んだ。地質鉱物は、石油・石炭などエネルギーとの関わりが深い。そのためエネルギー行政を所管していた当時の通産省を志望した。入省後、先輩からよく言われたのは上杉鷹山の「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」という言葉だ。「こうありたいとか、これをしたいという意志が強ければ、何事も達成出来るのではないか。気持ちを強く持てと言われて、心に留めておくようになりました」

四国の良さに付加価値を

前職の地方創生担当では、地方自治体を支援するための法制度の土台づくりに尽力した。人口減少の中でいかに仕事をつくり、人を呼び込むか、特色を生かした地域の在り方を方向性付けて、国も一丸となって寄り添っていかなければと考えている。

「簡単に実現出来るものではないと思います。地域の良さをどう生かしていくか、真剣に地元で考えて、取り組んでいただくことが重要だと思います。それを政府がいろんな面で支援していくことも必要ですね」。住民、企業、自治体に金融機関や大学、研究機関も一緒になってやっていく。一過性のものにしたくはないと言う。

昨年7月、四国経済産業局長に就いた。四国の農林水産業に強さを感じている。「四国の強みや良さを、消費者のニーズに合わせて高付加価値化やブランド化を図る。日本全国、海外にも輸出していくようなマーケティングをする他、そういうプレーヤーをいかに育てるかというのも重要だと思いますね」

地域内の複数の企業から仕入れた材料や商品を自社で更に価値を高め、地域外へ販売・輸出することで地域経済をけん引する企業を中核企業と呼ぶ。中小・中堅企業の底上げとともにこのような中核企業を発掘したり支援したりすることも、経済産業局の役割の一つだ。

「瀬戸内海っていいなと思いますね。高知で見る太平洋も四万十川も良い。他で見る景色とは違うなと。四国の魅力を伸ばせば、もっと発展していくと思います」。好きな地域の一つだと言う四国で、さらなる魅力発信に努める。

成瀬 茂夫 | なるせ しげお

略歴
1962年 8月 愛知県名古屋市生まれ
1986年 3月 東京大学理学部 卒業
1987年 4月 通商産業省 入省
2003年 7月 経済産業政策局企業行動課企画官
2005年 9月 資源エネルギー庁長官官房
       エネルギー情報企画室長
2006年 7月 資源エネルギー庁資源・燃料部燃料政策企画室長
2008年 7月 新エネルギー・産業技術総合開発機構
       京都メカニズム事業推進部長、国際部長
2011年 7月 経済産業政策局地域経済産業グループ
       産業施設課長
2013年 6月 内閣官房地域活性化統合事務局参事官
2014年 7月 内閣官房地域活性化統合事務局次長
2015年 1月 内閣府本府地方創生推進室次長
2015年 7月 四国経済産業局長

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