交通と観光が出会いを生む

四国運輸局 企画観光部長 小幡 章博さん

Interview

2015.02.05

「公共交通はみんながユーザー。便利になれば多くの人の役に立つと思いました」。大学卒業後、運輸省に入省した。

公共交通の新たな価値

車に乗って個々に移動でき、面識がなくてもインターネット上で人とつながれる時代になった。「便利になり過ぎていると感じることがあります。電車やバスでの移動は、人と交流することにもなります。公共交通にそういう価値を見出だす時なのかもしれません」

ニューヨークでの勤務は、観光の分野で大いに勉強になった。旅先に日本を選んでもらえるよう、旅行代理店にプロモーションをした。「少し前までアメリカでは日本が人気でしたが、旅先よりも身近な存在になったのでしょう。ミステリアスな部分があれば、行ってみたいと思うのでは」

四国でも交通整備と観光に尽力したいと考えている。「外国人観光客をもっと増やしたい。PRとともに、地域づくりはとても手間のかかる作業ですが、続けなければ効果はありません」

落ち込んだ時やつらい時は、地元・姫路の祭りで、みこしを担ぐ「よっそい」の掛け声を聞けば、気持ちが晴れる。「祭りやスポーツ、音楽イベントなど熱くなり盛り上がることがあれば、観光客や地元の定住人口増加にもつながる。そんな仕掛けづくりをしたい」

目の前の仕事にだけ夢中になるのでなく、全体のバランスを考えることも必要だと言う。「正しい状態を実現することが仕事だと思います。行政は縦割りになりがち。省庁や部署間にある壁を取り払って、役所の中で行われていることの『見える化』ができれば」

趣味もプランニングが重要

趣味は野球をはじめスポーツ観戦。子どもの頃から甲子園が身近だったため、高校野球は毎年楽しみにしている。自身も体を動かすことが好きで、大学では登山サークルで鍛えた。

思い出深いのは大学1年の時、山で台風に遭遇したこと。3000メートル級の山で、ずぶ濡れになって一晩を過ごした。初めての経験で、それまでの価値観を大きく揺さぶられた。一方、美しい景色に感動したのは、北アルプスの雲ノ平だ。名だたる山々に囲まれ人工物が見えない。

「街中の景色は時代とともに変わりますが、山は変わらないところも多いのでは。織田信長や武田信玄など歴史上の人物と同じ景色を見ているのかもと思うと、面白いですね」

四国は環境が良いと、数年ぶりにマラソンにも取り組む。「登山とマラソンは似ていると感じます」。起伏のある道を、ペース配分を考えながら進む。装備や行程が重要で、無計画では実行できない。「実行するまでのプランニングも楽しい。ゴルフも同じ感覚ですね」

2月は香川丸亀国際ハーフマラソンと姫路城マラソンに参加。「早く走るのではなく、制限時間内にゴールできれば。走ることそのものを楽しみたい」

小幡 章博 | おばた あきひろ

略歴
1973年 兵庫県龍野市生まれ
1996年 東京大学経済学部 卒業
運輸省 入省
2001年 米国ミシガン大学 公共政策大学院 留学
2003年 内閣府構造改革特区 地域再生室 課長補佐
2005年 国土交通省航空局 成田国際空港 課長補佐
2007年 独立行政法人国際観光振興機構 ニューヨーク事務所 次長
2011年 大臣官房国会連絡調整官
2014年 四国運輸局 企画観光部長
2015年 四国運輸局 観光部長
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小幡 章博 | おばた あきひろ

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