1950年代後半、米の代用として消費されていた100万トンの大麦が、飽食の時代で30万トンに減った。香川県に40数社あった精麦業者が3社になった。3代目社長高畑皓一さんが、味噌や焼酎の醸造用原料に活路を開いて生き残った。そして120年継続、発展してきた会社は4代目の高畑光宏さんに引き継がれ。
120年続いた理由
時代の流れに少しだけ早く乗って、お客様ニーズに応じてきた。当たり前のことを、その時々に悩みながらやってきた。当たり前が積み重なって120年会社が続いた。
営業にノルマがない。目標は1年1社の新規開拓だ。「値段で取ると値段で取り返される。信頼、信用で得たお客様は長いおつき合いができる」。先代社長の信念は社風になった。
「何かの縁で会社に入った社員を大切にしたい。どうすればそれが出来るかいつも自問自答しています」。親子2世代社員が何人もいた。いま営業の若い社員はおばあちゃんも社員だった。
「地元にご愛顧を頂いて、今日まで会社が続けられたと思っています」。お客様と社員と、地元とも長いお付き合い。先代社長が育んだ伝統だ。
先代との経営スタイルの違い
経営環境は変わる。人事評価制度や給与体系も変えた。ISOを取得し、生産システムを変え、工場や本社も移転した。懸案だった飼料事業から撤退もした。「前のやり方が良いという意見が必ずありますが、改革にトライします」。成否はその時点では解らない。間違っていたら元にもどせば良い。
オーダーメード精麦
農家と組んで国産大麦を増やす
企業は小さな努力を積み上げ、厳しい競争を勝ち抜いて今がある。その視点で見ると農業はまだ改善する余地がありそうだ。
「現在、弟には農家の方から麦づくりを学んでもらっています。農繁期を外せば労力は余りかからないので、暇なときは会社の仕事に戻ります」。担い手不足で放置された休耕田には雑草が生えている。
「農家の方は、暇な時期も労働力が固定化されるため生産コストが上がりがちです。企業と手を組めば労働力を工夫出来ると思います」。光宏さんの着想が国産の麦を増やすきっかけになりそうだ。
経営移譲のタイミング
「親父は28歳の時に、2代目社長が亡くなって社長になったんです。親子で面と向かってそんな話はしませんが、親父が社長になったときに困ったことがいっぱいあったんじゃないでしょうか」。
先代社長時代の社員がおおかた定年を迎える時期に、しかも事業の継承に必要な少数の人材は残るタイミングで、先代社長は4代目に経営を引継いだ。
高畑 光宏|たかばたけ みつひろ
- 略歴
- 1965年 善通寺市出身
1984年 丸亀高校 卒業
1988年 明治大学商学部 卒業
株式会社J-オイルミルズ 入社
1994年 株式会社高畑精麦 入社
2006年 代表取締役社長
株式会社高畑精麦
- 住所
- 香川県善通寺市吉原町2392-1
- 代表電話番号
- 0877-62-2323
- 設立
- 創業1888年2月15日
- 事業内容
- 精麦・飼料製造業、小麦粉・製麺販売業、倉庫業 他
- 資本金
- 4,000万円
- 従業員数
- 30人
- 地図
- URL
- http://www.takabatake.co.jp
- 確認日
- 2020.09.10
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