豆菓子づくりをまめに、真面目に

有限会社筒井製菓 社長 筒井 朋章さん

Interview

2014.05.01

「コントロールが悪くて」と笑う筒井朋章さん(43)は、高校・大学・社会人野球で腕を鳴らしたピッチャー。松下電器(現・パナソニック)野球部で活躍したが、父親が体調を崩したこともあり、仕事を覚えるなら今だと27歳で帰郷。筒井製菓へ入社した。

戦後まもなく祖父が創業した筒井製菓。手先が器用だった祖父は、オリジナルの機械をこしらえ、豆菓子製造を始めた。メンテナンスを続けながら今も当時の機械を使用している。父が2代目で、4年前に筒井さんが3代目社長に就任。

子どものころ、朝起きると両親はすでに作業を始めていた。配達の手伝いも自然と行い、「豆菓子屋」になることは当たり前に感じていた。「野球ではピッチャーがゲームをつくっていきます。会社の経営者も似たような立場ですね」

「新鮮」「自社製造」がモットー。作り置きはしない。機械と同じく製法も祖父の代から守ってきた。材料はそら豆や大豆、ピーナッツなどの乾燥豆。水で戻した後、炒ったり揚げたりして味付けする。

機械は全自動ではなく手動式のため、豆の状態を目で確認しながら作業を進める。筒井さんは自らを「人力豆菓子屋」と言う。水分をどれくらい残すか、どこまで火を通すかといった調整は、季節やその日の天気に左右される。マニュアルどおりでは同じ味を出せない。

祖父はそら豆を揚げた「フライ豆」、父は塩味の「バターピーナッツ」といったシンプルなものをメーンに作ってきたが、筒井さんは新しい味付けに挑戦。

ピーナッツの味付けには、「うすがけ」と「あつがけ」の2種類ある。見た目に豆の形が分かるものが「うすがけ」で、豆のまわりを生地でコーティングして形を丸くしたものが「あつがけ」だ。この「あつがけ」で豆菓子をスイーツにできないかと考え、新たな商品を開発。試作を経て、本格的に販売を始める。

昨年発売した「かがわどくろ」も新しい試みの一つ。県オリジナル品種の黒豆「香川黒1号」を使った商品だ。「香川黒」を広めたいとの思いで、ヌーベル和三盆「ガイコツ」のデザインを手掛けた高橋信雅さんとコラボレーション。和三盆では白色だったパッケージを黒に、中袋もどくろ形にした。黒豆を敷き詰めた中に、皮をむいた豆を二つ入れて目を表現。箱を開けると、中にもどくろが現れる仕掛け。
新商品の開発は、若い世代をターゲットに考える。「これまでは、豆菓子の魅力が評価されていないと思っていましたが、それは違うなと。皆さんに見てもらえるように工夫していかなければ」。

祖父や父と同じく職人気質を受け継いだ筒井さんだったが、経営者になり考え方も変わってきた。「豆がどんなにおいしくても、それだけではだめ。営業力を磨いて販売に力を入れたい」

商品の購入は、筒井製菓の店頭と量販店や土産物店などでできる。2001年からは「豆菓子屋.COM」というウェブショップも展開。「これまでは何事も直球勝負でしたが、やっと変化球もコントロールできるようになりました。柔軟に、軽やかに対応していければ」。どんな変化球が飛び出すか、注目したい。

筒井 朋章 | つつい ともあき

1970年12月25日 高松市生まれ
1993年3月 青山学院大学国際政経学部 卒業
1993年4月 松下電器産業 入社
1997年10月 筒井製菓 入社
2010年1月 社長就任
写真
筒井 朋章 | つつい ともあき

有限会社筒井製菓

所在地
香川県高松市多肥上町1706
TEL
087-889-0522
Facebook
https://www.facebook.com/mamegashi
事業の概要
菓子の製造および販売
資本金
500万円
社員数
7人(パート含む)
URL
http://www.mamegashiya.com/index.htm
確認日
2018.01.04

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ