決断の根底にあるもの

梅田 智子

column

2020.03.19

新型コロナウイルスの影響が各地である中、サンポート高松トライアスロン大会は、開催時期が7月であることを踏まえ今年のエントリーを3月2日から予定通り開始しました。その一方で、4月開催の宮古島トライアスロン大会の中止が発表されました。ボランティア5000人、35年続くファンの多い大会。2年前に同じく大会中止を経験した運営側として、関係者の方々の気持ちを思うと胸が痛みます。

2年前、未曾有の豪雨が四国を襲ったのは大会の数日前。直前まで希望を捨てず、スタッフ皆で万全の体制を整え、状況が悪化してもなお、どうすれば開催できるか各部門があらゆる案を考え、最後の最後まで、時に声を荒げて議論し、その結果、中止を判断し、完璧に設営されたコースや準備物をスタッフで黙々と撤去しました。

宮古島の皆さんもきっと同じように、全員で一生懸命、考えに考えて、それでもやっぱり、そういう決断をした。高松とは状況が異なるものの、島を守るための苦渋の決断だったと思います。もし大会で島外から多くの人がやってきて宮古島に感染が広がった時、離島の医療体制では限界がある。いきつくところはやっぱり、島に住む人のため。
 
高松大会をやりたいと思ったのは、世界中のトライアスリートが楽しめる大会を作りたかったのももちろんありますが、大会を通して、住んどる人たちが自慢できるような町になること!そこを一番!大事にしたかった。だからこそ、島のため、というところにすごく共感するし、勇気ある正しい決断だと思います。

そこから思いを巡らせるのは、豊島のこと。昔、工場建設の話があったとき大地主が断ったと。森が豊かで水が湧き、米も牛もよく育つ豊島を、そんなふうにして先祖たちが守ってくれた。だから、産廃不法投棄の問題が起きた時、住民たちは島を絶対に守る!という揺るぎない決意で血のにじむような住民運動を続け、公害調停を成立させました。

豊島と宮古島の、自分たちで島を守るという住民の方々の思いが重なります。宮古島トライアスロン大会、来年こそ、最高のコンディションで開催できることを、心から応援します!

梅田 智子 | うめだ ともこ

略歴
高知生まれ、香川育ち、東京在住。三児子育て中。サンポート高松トライアスロン大会エヴァンジェリスト

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