5Gの通信データを遅延なく速く伝送可能に

四国化成工業

Topic

2020.04.16

プリント配線板の銅回路をグリキャップにつけて処理する

プリント配線板の銅回路をグリキャップにつけて処理する

四国化成工業(丸亀市)は、プリント配線板の製造に使う新規薬剤を開発し、昨年から本格的な量産に乗り出した。製品名は「GliCAP(Chemical Adhesion Process、グリキャップ)」。銅と樹脂の密着性を向上させる薬剤システムだ。
銅表面を薬剤で粗化した場合(物理的結合)

銅表面を薬剤で粗化した場合(物理的結合)

パソコンやスマートフォンなどの電子機器に使用されるプリント配線板は、導電体の銅回路と絶縁体の樹脂を何層も積み重ねて作られる。銅などの金属と樹脂はくっつきにくいため、従来は銅表面を薬剤であらし(粗化処理)、物理的に樹脂との密着性を向上させていた。だが、電子機器の小型化でプリント配線板も小さくなり、その結果、銅回路が微細になると、銅表面の粗化が難しくなってきた。

また、今年から国内でもスマートフォン向けにサービスが始まった5G(第5世代移動通信システム)のように、通信速度が速くなるにつれて、銅表面が粗化されていると電気信号の損失が大きくなる。そのため銅表面が平滑なまま密着力が得られる技術が求められていた。

同社は銅表面を粗化せずに、樹脂との密着性を向上させる方法を模索。2012年から開発に取り掛かった。「世の中にまだ無い技術・製品を具体化するのは大変。どんな技術で薬剤を開発するか、薬剤を使ってプリント配線板を量産するにはどんな設備が必要なのか、すべてが手探りの開発でした」と化学品研究・開発本部 表面化学材料チームリーダーの勝村真人さん。

同社の防錆剤「タフエース」がヒントになった。コア技術である有機合成技術で、GliCAP薬剤を開発。化学結合によって銅と樹脂を密着させることに成功した。試作設備を導入して試験を繰り返し、18年にGliCAPシステムが整った。

現在、国内外のメーカーで使用されており、勝村さんは「電子機器の小型化や高周波化はさらに進むと考えられます。これからも世の中のニーズに応えた製品を開発していきたい」と話す。
銅表面をグリキャップで処理した場合(化学的結合)

銅表面をグリキャップで処理した場合(化学的結合)

四国化成工業株式会社

住所
香川県丸亀市土器町東8丁目537番地1
住所
丸亀市土器町東8丁目537番地1
TEL.0877・22・4111
設立
1947年10月10日
資本金
68億6770万円
従業員数
642人(2018年3月末、出向者除く)
事業内容
不溶性硫黄、二硫化炭素、殺菌・消毒剤、ファインケミカル製品等、化学品の製造・販売
内装材、外装材、エクステリア等、建材製品の製造・販売 他
地図
URL
https://www.shikoku.co.jp/
確認日
2018.09.06

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