誰かの選択が責められることなく、機会を奪われることなく

株式会社DaRETO 城石果純

column

2020.09.17

3月初旬、私が住む小豆島でも、急に小学校の休校が決まった。急遽夫婦で仕事を休むことにし、家族6人での生活が始まった。幸いといえるのか、コロナの影響で夫の移動販売ピザ屋の貸切予約もほぼキャンセル、私の仕事「しまの塾」も集まることが難しく泣く泣く開講キャンセルを決めた。

人がいない山や滝に出かけ、夕方になると近所を散歩し、はじめのうちはゆったりした気分で日々を過ごしていた。徐々に、オンライン授業が始まった学校の話などを聞くと地域格差が起きている気がして不安になった。GW明けの休校が決まった時、とうとうわが家では居間に勉強机を移して対策を始めた。

私が日ごろ仕事でお付き合いのある会社は観光業が多い。今回のコロナで大大大打撃を受けている。それでもできることをしていこうという姿勢に、何度も励まされた。

学校の休校で給食がなくなり、食事が十分にできなくなった家庭の話も聞いた。家庭に食事を届けるボランティアの人からの声を吸い上げて、午前と午後での分散登校が始まったタイミングで給食が始まった。少しでも早く給食を始めるという町の意思を感じた。

仕事をなくした人が最後の地にと来島し自殺未遂をした話を聞いた。コロナで倒産した企業は全国で506社、失業した人は約5万人を超える(2020年9月9日現在)。香川県では感染者数が少ないため、一人ひとりの行動履歴が発表されるがそこからの風評被害も生まれている。未曾有の状況で自粛をするのも経済を回すのも、どちらも正しい。感染への不安を抱えながらも、生活のために営業している事業者も多い。みんな迷いながら日々を過ごしている。

どうか誰かの選択が責められることなく、お互いの立場を思いやれますように。いろいろな機会が奪われるだけでなく、折り合いをつけられますように。皆さんの心と身体が健やかでありますように。

城石 果純 | しろいし かずみ

略歴
1984年 愛知県生まれ
2003年 愛知県立旭丘高校 卒業
2007年 早稲田大学人間科学部 卒業
    株式会社リクルート 入社
2012年 株式会社リクルートライフスタイルに分社化
2016年 同社退社、個人事業主として独立
2017年 株式会社DaRETO 創業

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