香川の昭和100年を振り返る【社会】

ビジネス香川 編集室

column

2025.01.30

香川県立文書館所蔵 安川満俊撮影・収集資料

香川県立文書館所蔵 安川満俊撮影・収集資料

昭和から現代まで、社会や暮らし、価値観の変化によって「家族」「地域」のあり方も変わってきた。産業構造の変化(国勢調査より)からみると、1930年には第1次産業従事者が49.8%だったが60年代以降急激に減り始め、2020年には3.2%。1960年は、夫婦と子どもから成る世帯が全国で38.2%、次いで三世代同居などを含むその他の一般世帯が30.5%だったが、2020年は単独世帯が38.1%を占める。香川も同じような傾向で、「統計でみるかがわ2023」によると、第1次産業従事者は1960年の41.7%から2020年には4.8%で、第3次産業が70%(グラフ参照)。三世代同居などをしながら農林水産業等に従事、生業を通して家族や地域と密につながっていた暮らしが、都市化によって変化していく様子が想像できる。

そんな中で、家族が情報を共有する新たなツールとなったのがテレビ。1960年前後の高度経済成長期をきっかけに香川でも電化製品が普及し始め、テレビがだんらんの中心となった。総務省「昭和62年版通信白書」によると、カラーテレビ普及率が約90%となった1975年ごろには、テレビの視聴時間が3時間前後となり以降しばらくその水準で推移。情報を共有する文化は、現在にもつながっていると考えられる。

2000年代に入るとその情報収集のツールにも変化が。「令和元年版情報通信白書」によると2000年から15年にかけてテレビ視聴時間が緩やかに減少し、インターネットの利用時間が増加。特に10代・20代でその傾向が強く、2015年には1日の利用時間は100分以上。世代によって情報源に違いが生まれ、コミュニケーションギャップが広がる可能性もある。

新たなつながりの再構築へ 私たちは何ができる?

都市化によるライフスタイルの変化、核家族化などによって地域のつながりは希薄に。また、価値観の多様化を背景に、“みんな”で情報共有から“個”で情報を選ぶ時代になった。

地域のつながりの希薄化は、少子高齢化とあいまって地元の祭りや伝統行事の伝承にも影響を与える。高松市の「自治会の在り方等に関する中間報告」によると、自治会加入率は2007年の73.3%から18年には57.65%と減少している。一方で、近年リスクが高まっている災害への対策、高齢者や子育て世帯を支えるなど、「地域のつながり」の重要性は高まっている。

そこで、SNSを活かして新たなコミュニティを構築する動きも生まれている。例えば、SNSなどを活用して地域内外の関係人口を増やしながら、祭りの担い手不足を解消する取り組み。また、琴平町では地域おこし協力隊がデジタルコミュニティをつくり地域活性化を目指す取り組みも始まっている。

「個」を加速させたデジタルは一方で、世代を超えて新たなつながりをつくり、地域の課題を解決に導く可能性ももつ。多様な価値観の社会の中で、コミュニティを再構築していくためにどんな方法があるのか。私たちも考えていきたい。

【取材協力】香川県経営支援課、交通政策課、産業政策課、政策課、統計調査課、やしまーる館長・中條亜希子さん

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