香川の昭和100年を振り返る【インフラ】

ビジネス香川 編集室

column

2025.01.30

地域の産業を発展させ、私たちの暮らしを快適にするためにはインフラが欠かせない。香川の発展に大きな役割を果たしたインフラはやはり、瀬戸大橋と早明浦ダムではないだろうか。

瀬戸大橋は、1959年に本州と四国を結ぶ道路橋の調査が始まった5ルートのうちの一つ。綿密な調査が進む中、73年ごろのオイルショックによる着工延期などを経て、78年にようやく建設工事に着手。ついに、88年に道路・鉄道併用橋である瀬戸中央自動車道(瀬戸大橋)が完成した。瀬戸大橋の開通と前後するように、87年には香川で初めての高速道路「高松自動車道 善通寺IC~三島川之江」が開通。その後も四国内で高速道路の整備が進んだ。

瀬戸大橋の開通により、児島・坂出ルート(経路の起終点:倉敷市役所~坂出市役所)の所要時間が80分短縮された。また、瀬戸大橋を含む3つのルートで構成された「本四高速道路」の開通により、大鳴門橋開通前の1984年度と2019年度を比較すると、自動車交通量は3.5倍、交流人口は2.1倍に拡大。経済効果も大きく、例えば香川県産ブロッコリーは鮮度を保つ輸送が可能になり、2022年の東京市場における全国シェア約17%を占めるなど、産業、観光面でも大きな役割を果たしている(本州四国連絡高速道路株式会社ディスクロージャー「2023 Bridge Communication & Technology」資料編)。

早明浦ダムは、農業・水道・工業用水を安定的に供給する、洪水調節機能により河川の安定を図る、水力発電を行うことを目的とした吉野川総合開発計画の一環として1975年に建設された。建設を機に、長年水不足に悩んできた香川でも安定的に水が確保できるようになり、1970年代の人口増加による水需要の増加にも対応。農産物の産出額の増加や工業の発展にも貢献してきた。

インフラへの新たな課題

地域経済の発展に大きな役割を果たしてきたインフラには近年、取り組むべき新たな課題がある。その一つが、災害対策と老朽化への対応だ。雨の降り方が変わってきた近年、早明浦ダムではダムの洪水調節機能を高めるため「早明浦ダム再生事業」を行っている。瀬戸大橋でも日々点検・管理を実施。点検ロボットや劣化を予測するAIなど、進化する技術を活用しながらの保全にも取り組んでいる。

インフラには産業の発展だけではなく、文化の発展、災害時、救急などさまざまな役割がある。先人たちが残してくれた財産を、大切に活かし守りながら次の時代につないでいきたい。

【取材協力】香川県経営支援課、交通政策課、産業政策課、政策課、統計調査課、やしまーる館長・中條亜希子さん

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