大事なのは人間力

香川ヤクルト販売 代表取締役社長 町田 繁さん

Interview

2018.12.06

飲料メーカーに就職したが、最初に配属されたのは当時、会社が力を入れていた本社の化粧品事業本部だった。「化粧品なんて未知の世界。男性が売るのは相当厳しかった」。ドアすら開けてもらえないことも多く、1日100軒以上訪問しても結果が出ない日々。2週間ほどたってようやく売ることができた。

約1年、化粧品部門の研修を通じて感じたのは、営業という仕事は“人”を売っているということ。「流暢に商品の説明ができたからではなく、一生懸命説明しているあなたが気に入ったから商品を買うと言ってくれた方がいて。初めて会うお客様に、まず自分を信用してもらうことが大事なんだと思いました」。知識や技術も必要だが大事なのはヒューマンスキル、という思いは自身の仕事観のベースになった。

その後、食品事業本部で宅配事業に携わったほか、広報、企画など営業以外の業務も経験。キャリアを重ねる中で、企業風土をよりよくするにはやはり“人”を変えないといけない、という思いが強くなっていった。40代の時、人材開発の仕事がしたいと初めて会社に希望を出した。
優秀YLさんとの報奨旅行

優秀YLさんとの報奨旅行

念願かなって配属された人材開発センターでは、本社約3000人、販売会社103社を対象に新人研修、マーケティングや顧客満足、コミュニケーションといったテーマ別の研修に携わり、時には講師として販売会社もまわった。「最近の新入社員はTOEICの点数が高い、マーケティングの知識がある・・・など優秀な人が多い。でも最初は、ヤクルトレディ(YL)に同行したり、お客様を訪ね商品を普及する。うちは、ヤクルトレディや販売会社に支えられているということ、どうやって人間関係を築いていくかを現場で学んでもらいました」

趣味は料理とコーヒー

コーヒーでリラックス

コーヒーでリラックス

昔から料理が好きだったが、4月に香川に単身赴任してから料理をつくる回数が格段に増えた。たまに外食した時は、その味を覚えて家で再現してみる。「最近、3つ4つの作業を同時進行で段取りよくできるようになったのが嬉しい。ただ、後片付けは嫌いなんですが・・・」。得意メニューは、2種類のみそを使ったモツ煮込みだ。

受験勉強の眠気覚ましに飲むようになってから、コーヒーも好きになった。今は、ミルで豆をひき銅製のドリッパーで淹れたコーヒーを朝晩飲んでいる。「蒸らし方とか使う水で味が変わるのもおもしろいですね」。香川でもお気に入りの豆を見つけたが、ほかのお店も探索中だ。

働くことが楽しい職場に

努力しても結果が出ない時もある、大変だ嫌だと思う仕事もあるかもしれない。研修をしていた時、若手によく言っていたのは「一生懸命やれば見る人は見ているし、絶対に無駄な経験はない」ということ。「10年後20年後、自分は何になりたいのか、何をしたいのかを考えて仕事に臨めばどんな経験も糧にできると思います」。香川でも、将来のビジョンを描き自分はどんな経験を積むべきかを掘り下げる研修をやりたいと考えている。

一緒に働く仲間に、ささいなことでも感謝の気持ちを伝える「サンクスカード」と、仕事の経過や成果をたたえる「グッドジョブカード」を社員全員が書く取り組みを始めた。「最初の月は私が書いたカードが多かったんですが、今はほとんど社員が書いたもの。カードを書くには周りに興味を持って人を見ないといけない。それに、誰かが見てくれていると思うと嬉しいでしょう?」

ヤクルトはお客さんに満足してもらい継続して商品を購入してもらうのが基本。顧客満足のためには、まず従業員満足だという。「社員が仕事にやりがいが持てて、楽しいと思える職場にすることが私の役割だと思います」

石川 恭子

町田 繁 | まちだ しげる

1960年 長崎県長崎市生まれ
1979年 県立長崎南高校 卒業
1983年 長崎大学経済学部 卒業
    (株)ヤクルト本社 入社
1986年 九州支店化粧品課
1990年 広報室編集班
1996年 近畿支店宅配営業課主事補
2001年 企画室主事
2010年 人材開発センター所長
2018年 香川ヤクルト販売(株)代表取締役社長

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