アメリカ

著者 橋爪大三郎・大澤真幸/河出書房新社

column

2019.01.03

著者のお二人は過去に「ふしぎなキリスト教」で新書大賞を受賞したのをはじめ「おどろきの中国」、「げんきな日本論」など多数の本をこのコンビで出されています。

今回の本のタイトルは、ずばり「アメリカ」です。河出新書が60年ぶりに復活した記念の第一弾として出版されました。

日本にとって一番重要な国であろうアメリカですが、日本人はアメリカの何たるかをまったく理解していないと著者は言います。戦後の世代にとって娯楽や文化、たとえば音楽、映画、食べ物などむしろ日本のものより馴染み深いものになっています。

本書は、日本が過剰に忖度し過ぎたり、寄り添いし過ぎたりするアメリカを根底で支えている価値観と行動様式を、宗教とプラグマティズムの二つをキーワードに掘り下げます。

日本は特殊な国だと言われますが、アメリカは日本に劣らず特殊な国です。ですがアメリカという国は外に向けてその特殊性の普遍化を目指します。著者は柔道とアメリカンフットボールの例をあげて説明します。日本の柔道はその特殊性を自ら削って、普及のために世界標準に合うように変えていきましたが、アメリカはサッカーやラグビーが国内で普及しないとみるや、アメフトというスポーツを作り出しました。

たとえばサッカーは時間のはかり方など非常にアバウトなところがありますが、アメフトはそういう曖昧な部分を一切無くして様々なフットボールの要素を取捨選択して完成させました。ただそれが世界に、サッカーのように受け入れられ普及しているかといえばノーとしか言えません。まるでアメリカの建国以来の歴史のように。

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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