
野球少年から気象予報士へ
小学生から野球を始めて、進学した山口県立徳山高校でも野球部に入った。3年生の時、チームは県大会で優勝し、甲子園出場を果たした。「ベンチ入りできずにアルプススタンドで応援しました。うれしいけど悔しい。今思えば、初めての挫折でした。日々の積み重ねが大事なんだと痛感しました」
岡山大学卒業後、広島大学の大学院で気象について学んだ。気象データに基づいて、中国地方の雪の降り方を研究した。大学院在学中に第1回の気象予報士試験を受験し合格。1995年、日本気象協会に入った。
日本気象協会は、1950年に設立した民間気象会社のパイオニア。気象観測とデータ解析を行い、天気予報だけでなく、防災や環境に関する情報を発信している。天気予報専門サイト「tenki.jp」も運営。四国支店ではダムや道路、港湾荷役、海上工事の管理者などに情報を提供。西林さんは四国支店に赴任して20年以上になる。
「かつては雨が降るか降らないかが、気象予測の主流でした。現在、雨の有無だけで言えば、90%以上の確率で天気予報は的中しています。予報の精度の高まりとともに、要望の高まりも感じていますね」
太陽光発電設備の普及に伴って、日射量も重要視されるようになった。「曇りでも雲の位置によって日射量が違います。高い位置にあれば日射量は多く、低い位置にあれば少ない。同じ曇りでも質が違うんです。そこまでの情報が求められるようになりました」
九州は台風、東北は降雪など地方によっても協会が求められる情報は違う。四国では台風や大雨、風の情報が重宝される。愛媛県四国中央市一帯で春に多く発生するやまじ風は、日本三大悪風の一つ。「吹くか吹かないかはほぼ100%分かります。どれくらいの強さで吹くかは気圧配置によって変わるので、その予測精度を高めていきたい」。やまじ風の警戒情報は農作業に役立てられている。
子どもと一緒にサッカー
最近では、息子が所属しているサッカーチームの練習や試合に出掛けることが多い。試合の時はビデオ撮影を欠かさず行う。「負けることが多いですが、その中でもきらりと光る場面がある。子どもたちの嬉しい表情を逃さないようカメラを回しています」。撮影後は映像を編集してDVDにおさめる。長男と次男の二人分で、4年間で50枚も作成し、チームメートにも配った。

息子のサッカーの試合では審判やビデオ撮影をする
役に立ってこそ意味がある

家族全員で
鎌田 佳子
西林 一茂 | にしばやし かずしげ
- 略歴
- 1969年 山口県徳山市(現・周南市)生まれ
1988年 山口県立徳山高校 卒業
1993年 岡山大学 卒業
1995年 広島大学大学院 修了
日本気象協会 入社
2010年 四国支店長
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