人生は「塞翁が馬」

四国管区警察局長 小澤 眞介さん

Interview

2015.07.16

高松で地方勤務は9カ所目となった。埼玉県の蕨市出身で、育った場所は海も山も遠く、自然への憧れが強いと言う。「海沿いをジョギングすると潮の香りがします。高松もいい場所ですね」

高山植物を観察

高校では生物部に所属し、合宿で尾瀬や荒川の源流を訪れた。その経験でより自然に魅せられた。生物部の仲間と大学生の時には、北海道の利尻山、大雪山、羅臼岳などに高山植物の観察に出掛けたこともある。

しばらく登山は中断していたが、仲間の誘いで昨年13年ぶりに再開。夏に北アルプスの燕岳へ。目的は高山植物のコマクサの観察だ。1日目は6時間ほど歩いて山小屋に宿泊し、2日目は4時過ぎに起きて日の出を見た。北は後立山連峰から、南は富士山まで見渡すことが出来た。秋には群馬と新潟の県境にある谷川岳に登った。「体が動く限りこれからも山に行きたい」

城跡を訪れるのも好きだ。城を何の目的で築いたのか、どう防御しようとしたのかと考えると面白い。中学時代、部活動の引退後にはまったのが、歴史小説だった。父がそろえていた山岡荘八著の『徳川家康』を読んだのがきっかけだ。

戦国時代の軍師、竹中半兵衛や黒田官兵衛などの人物も魅力的だ。今は長宗我部氏の小説を読んでいる。「ピンチの時に武将はどう決断するのか。自分で決めるしかない、そんな場面の緊張感が好きですね」

どこへ行っても自分らしく

若い頃は人から嫌われないように振る舞ったり、当たり障りのないことを言ったりと、とかく人の目を気にしがちだが、自分らしくいればいい。それが若手へのアドバイスだ。

これまでの勤務地は、北は山形から南は鹿児島まで。「知らない土地で初めての仕事を経験することも多くありました。いかに早くなじむかをいつも考えます。どの勤務地も思い出深いですね」。今も各地の人々と年賀状のやり取りが続く。

20代後半で赴任した鹿児島県では、初めて見た桜島の迫力に驚いた。「50万人以上が暮らす都市の近くに、あんなに大きな火山があるなんてとびっくりしました」。京都では気分転換に鴨川沿いを走った。当時はポケットベルを携帯していた頃で、走りながらよく鳴っていたのが印象的だ。

防衛庁、公安調査庁、経済産業省と、警察以外の省庁でも勤務を経験してきた。感じたのは、どの分野でも判断基準になるのは常識であるということ。そして、自分の常識が世間から見て正しいのかどうかという視点を忘れてはならないとも考えた。「机上の空論にならないよう現場を大切に、誠実な対応を心掛けています。たとえ望まないポストに就いたとしても、塞翁が馬の故事のように考え、腐らずに仕事をすることが大事だと思います」

小澤 眞介 | おざわ しんすけ

1956年4月 埼玉県蕨市生まれ
1980年3月 東京大学経済学部 卒業
1980年4月 警察庁 採用
1988年7月 岡山県警察本部警備部長
1989年7月 山形県警察本部警務部長
1994年8月 京都府警察本部警備部長
2002年7月 東北経済産業局総務企画部長
2008年3月 関東管区警察学校長
2012年8月 警察庁総務課警察制度総合研究官
2015年3月 四国管区警察局長

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