ラグビーで学んだスピリット

日本通運 執行役員 四国支店長 近藤 晃さん

Interview

2015.03.19

東京、大阪、神戸、横浜と、主要な港町で海上輸送に携わってきた。山形、静岡で支店長を経験し、2013年5月に四国支店長に着任した。

モアイ像や土俵まで

入社後、東京国際輸送支店に配属され海運貨物の輸出入を扱った。20年近く海上輸送に携わった中でも印象的なのは、モアイ像を運んだこと。チリ・イースター島からやって来るモアイ像を東京・日比谷で展示するというイベントで、港での水揚げ後の輸送と据え付けを手配した。

研修でニューヨーク支社にも勤務。その頃、マディソン・スクエア・ガーデンで大相撲の巡業が行われた。日本通運では道具一式の運搬のほか、土俵を作るための土の手配をすることに。日本から土を持ち込めないため、現地で調達しなければならなかった。「ロングアイランドという島から土を搬入しました。思い出深い出来事ですね」

大阪と神戸の勤務は阪神淡路大震災が起きた前後。日本通運の港湾施設が被災し、近藤さんは復旧作業の担当となった。社員の被害状況も確認するために、一人ひとりの家を訪ねたという。「復旧・復興という言葉を簡単に使ってはいけないと感じました。被害に遭われた方の大変な状況やつらい思いは、長く続いていくんだと肝に銘じました」

全ては勝利のために

経営は安全の上に成り立つというのが、近藤さんの考え。「輸送には危険がつきもの。安全確保のためには規律とコミュニケーションが必要です」。学生時代に励んだラグビーから学ぶことも多い。

「ラフプレーが多いと思われがちですが、イギリス発祥の紳士のスポーツです。ルールを守らないと勝てません」。試合中、監督やコーチは指示を出せる場所にいない。15人のプレーヤーがそれぞれ考え、コミュニケーションを取りながら試合を進める。

ラグビーの精神を表す言葉として「one for all, all for one」はよく使われる。近藤さんはこれを「一人はみんなのために、全ては勝利という一つの目標のために」と解釈している。「規律を守り、意思疎通を図りながら一つの目標に向かう。仕事にも通じることです」

今も体を動かすことが好きで、毎朝1時間程度のウオーキングと週2回の筋力トレーニングを欠かさない。マラソンや登山にも挑戦し、昨年は阿波おどりに参加した。ラグビーワールドカップ2019は日本開催。世界の強豪を間近で見られることが楽しみだ。

世界に目を向けて

3月は引っ越しのピーク。この時ばかりは、四国内の支店スタッフ約1200人が総出で対応する。引っ越しや美術品などの輸送はもちろん、「世界日通」というイメージも定着させたいと考えている。「原材料の仕入れや製品の販売など国内輸送だけではなく、世界に目を向けていただきたい。お客様のグローバルビジネスをサポートできれば。四国4県それぞれに世界とつながる港がありますから」

近藤 晃 | こんどう あきら

略歴
1959年1月 東京都生まれ
1981年3月 慶應義塾大学法学部 卒業
1981年4月 日本通運株式会社 入社
2005年5月 総務・労働部専任部長
2007年5月 山形支店長
2009年5月 国内事業本部部長
2011年6月 静岡支店長
2013年5月 執行役員四国ブロック地域総括 兼 四国支店長

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