“安心・安全”実現のために製品の「設計図」を管理する

eBASE 代表取締役社長 常包 浩司さん

Interview

2010.11.18

店頭に並ぶひとつの商品。一体何を原料に、どのように加工されたものなのか―。商品が持つあらゆる情報をデータベース化して管理する。それがeBASE株式会社が企画・開発するソフトウェアだ。

「娘が小麦と卵のアレルギーでとても苦労しました。お菓子は何も食べられなかった。情報を正しく管理すれば『小麦と卵が入っていないお菓子』で商品を検索できるんです」常包浩司社長は続ける。「そうすれば安心してお菓子を食べられますよね」―

コロッケは「何」から出来ている?

「BSE問題や偽装表示などで社会の意識が大きく変わりました」―。商品の詳細な情報開示を求める、そういった動きに応えようというのが情報管理ソフト「eBASE」だ。

一体どのようなものなのか、スーパーで売られている「コロッケ」を例に挙げてみよう。

「コロッケ」はじゃがいも、玉ねぎ、塩、サラダ油など、様々な原材料から作られている。原材料それぞれの産地や、カロリー、タンパク質、脂質、コレステロールなどの成分や量、アレルギー物質や添加物の有無といった情報を収集し、データベースを構築する。

それを活用して、例えば加工業者は詳細な品質表示ラベルを作成。スーパーは広告やカタログを作成。そして消費者はパソコンや携帯電話から食品情報をチェックする―。製造から消費まで、企業間の垣根も越えて情報を共有・交換しようという仕組みだ。

“無償”で作る「設計図」

「製品の設計図」。

開発したシステムを常包さんはこう例える。

良い設計図を作るために最も重要なもの。それは「原材料」に関するデータだ。原材料データを正確に、しかも大量に得るため、eBASEではある手法をとっている。

「食品業界では現在約3万6000ユーザーにソフトを導入してもらっています。しかし、このうち約3万5000ユーザーにはソフトを『無償』で提供しています。『有償』ユーザーは全体の3%程度ですね」

設計図作成のために欠かせない「原材料データ」。だが、原材料の生産者には大手や中小のメーカーだけでなく、個人農家や零細企業も多い。負担をかけずにデータを集めるため、まずは「無償」でソフトを提供することにした。取引先は年々順調に増えている。

「今はコツコツ種をまいている状況です。製品情報管理システムの必要性をまずは知ってもらう、という段階ですね」

すべてが「安心・安全」へ

このシステムは食品に限ったものではない。日用雑貨、家庭用品、家電、情報機器など多岐にわたる。あらゆる製品情報の徹底管理。それを目指した根源にあるのは「安心・安全の実現」だと常包さんは話す。

「例えば情報機器の中に鉛や水銀などの有害物質が入っていたとすると、再資源化する際にとても危険です。部品一つひとつに何がどれだけ含まれているのかを正しく知って、体に悪いものは排除していく。そんな仕組み作りが今求められているのではないでしょうか」

「食品」の情報管理の中でも、「生鮮食品」に特化したソフトウェアもある。生産者情報、肥料や飼料の使用状況、農薬は使っているのか、といった情報をデータベース化していく。他にもインターネットショップと連携し、より詳しい商品情報を提供。売り手と買い手を結ぶソフトも開発中だ。

すべてが「安心・安全」に繋がっている。

故郷に作った「生産拠点」

常包さんはまんのう町生まれ。以前は大阪の大手印刷会社に勤務。画像研究所の所長として、最先端の印刷技術を駆使しての企業の製品カタログ制作などに携わっていた。

各企業から個々のスタイルで次々と集まる製品情報。貴重な情報が氾濫してしまっている。再利用も難しい状態だ。もったいない・・・・・・

これらを統合し、さらには共有・交換など情報に「コミュニケーション力」を加えれば新たなビジネスになるかもしれない―。

「非常に優秀だった当時の部下十数名が、私の考えに賛同してくれたことで踏み出す勇気が持てました」

2001年、その部下たちを引き連れ「eBASE」の前身となる「ホットアイ」を大阪で設立。そして10年目の今年2月、生まれ育った香川に開発センターを新設した。新たなソフトウェア開発などを担う「生産拠点」だ。地元の人材を積極的に雇用していきたいと常包さんは話す。

「やはりDNAですかね。故郷に帰りたい、何らかの形で恩返ししたいという思いはずっとありました。それに何といっても香川は優秀な人材が豊富なんですよ」

目指すは「ワールドスタンダード」

近年、メーカーなどに対して有害物質を含む製品の申請・登録の義務付けや使用制限などが広がりつつある。人体や環境に配慮する、ヨーロッパなどを中心とした世界的な動きだ。

eBASEでは現在、ソフトウェアの英語版、中国版などを開発中で、少しずつ海外企業への「無償」提供も始めている。

「これからは商品を手に取る消費者がもっと身近に利用できるサービスを提供していきたいですね」

暮らしの安心・安全のために、製品情報管理の「ワールドスタンダード」を目指したいと話す常包さん。

「世界はすでに求めて来ていると実感しています」と、最後に力強く語った。

常包 浩司

eBASE株式会社

住所
香川県高松市天神前10-12
代表電話番号
087-863-7133
設立
2001年
社員数
76人
事業内容
商品情報のデータベース化とその管理をするソフトウェアの企画・開発
沿革
2001年 株式会社ホットアイ 設立
2003年 東京支社 新設
eBASE株式会社に社名変更
2006年 大阪証券取引所ヘラクレス上場
2010年 香川開発センター 新設
資本金
1億9034万円
地図
URL
http://www.ebase.co.jp/
確認日
2010.11.18

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