商品開発×教育から生まれた
高校生考案の新スイーツ

久常　「ハイスクールマフィン」は香川県産小麦や米粉、希少糖、さぬき讃レモンといった地域の食材や、果汁を絞った後の果皮を乾燥させたパウダーなどエシカルな素材を使い、「健康的でおいしいスイーツを家族に食べてほしい」という高校生の思いを込めたスイーツです。学生たちに当初いくつか提案してもらった中から、味やコンセプトなど商品そのものの魅力だけでなく、「輸送しやすさ」「日持ち」「価格設定」「ターゲット」など、実際の商品開発で考慮すべき点を踏まえて1商品に絞り込みました。本格販売後の量産・流通・販売も、グローカルラボ参加企業が担っています。

神内　私は2024年8月に入社し、パッケージや価格設定を検討して実際に販売できるレベルまで商品を磨き込むところから参加しました。社内システムやDX化を担当する私が通常業務で高校生とかかわる機会はなく、何もかも初めてのこと。若い人たちに思いのほか刺激を受けて、システム業務も活発にやろうというエネルギーがわいてきました。

久常　経営企画室はもともと「新しいことをする」部門で、私は中小企業の販路拡大をサポートする地域商社事業の担当として、社外のいろんな人・企業とつながる立場です。その連携を活かし、当社にとって初めてのものづくりを、最初から学生たちと一緒に進められたことが大きなやりがいになりました。

神内　ハイスクールマフィン開発の取り組みが、一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会が主催する「ブランドマネジメントアワード2025」奨励賞を受賞し、ビジネスの成功例として一定の評価を得られたことも、大きな励みになりましたね。

久常　坂出一高との取り組みは今後も続けたい。学生たちには「物を売る」大変さを学ぶ金融・ものづくり教育にもなり、食物科で学ぶ彼らが将来を考える際の選択肢が広がったのではないでしょうか。利益は高校を通じて坂出市内の子ども食堂支援に使われ、そうした社会貢献も含めて「企業と学生のコラボ」のモデルになればうれしい。

神内　マーケティングや流通を学んで身につけた「どういう人に需要があるか」「どう広げていくか」という視点は、自分の業務にも応用できると気づきました。もっと経験を重ねて、視野を広げたい。プロジェクトについても、卒業していく学生たちが、後輩たちに学びをつなげてくれたらいいなと思っています。