
<写真1>白無垢 昭和時代(香川県立ミュージアム蔵)
写真1は、現在も婚礼の際に花嫁が着る白無垢。室町時代に書かれた武家の故実書「嫁入記」に、衣裳は上着に白い小袖を羽織るとあることから、当時の婚礼では、すでに白無垢を用いていたことが分かる。ではなぜ花嫁衣装は白なのだろうか。嫁ぎ先の色に染まりますという説もあるが、白は清らかで穢(けが)れのない色、また“死”や“他界”を示す色ともとらえられていた。女性は相手の家に嫁ぐ際一度死に、婚家の嫁として新たに生まれ変わると考えられていたため、“死”を象徴する白を身に付けるようになったようだ。花嫁の衣装に“死”という意味合いがあったことには少しショックを受けるが、現在では当たり前の風習も、時代によって少しずつ変化してきていることを感じていただければと思う。

<写真2>備前焼甲冑香炉 江戸時代
高松松平家歴史資料
(香川県立ミュージアム保管)
そのほかにも、色と形にまつわる収蔵品約100点を展示する。PartⅡでは「いつものくらしこれ、いいね。」として、ちょっと昔の衣・食・住に関わる資料をオシャレでモダンに展示する。こちらも合わせて、ミュージアムのコレクションを体感してほしい。
「香川県立ミュージアム10周年記念コレクション展 目からうろこのミュージアム!」
【と き】8月4日(土)~9月24日(月・振休)
【ところ】香川県立ミュージアム(高松市玉藻町5-5)
【入場料】一般500円(PartⅡと共通800円)、高校生以下、65歳以上無料
PartⅡ ~いつものくらしこれ、いいね。~
※PartⅡは10月2日(火)~11月25日(日)開催
香川県立ミュージアム 岡本 由貴子
- 写真
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