「率」と「数」大事なのはどっち?

学習塾経営者、ビジネス数学インストラクター 大沼宏和

Research

2021.10.21

「合格者数ランキング」の落とし穴

毎年、「東大合格者数高校別ランキング」なるものが週刊誌などで発表されています。2021年度は、複数のメディアで1位・開成高校(東京)、2位・灘高校(兵庫)という結果でが報じられました。実際、現役生の「合格者数」は開成高が107名、灘高が75名となっており、開成高のほうが優秀であるように見えます。

しかし、現役生の「合格率」で見てみると、開成高は26.75%、灘高は34.72%となり、むしろ灘高のほうが良いのでは?と思えてしまいます。

さて、このような場合、我々はデータをどのように解釈すればよいのでしょう。

「率」と「数」の両方を見ないと実態はつかめない

このランキングは、いわゆる「数」すなわち東大に合格した実際の人数を降順に並べたものです。

ここで、2つの高校の卒業者数に注目してみましょう。灘高の今年の卒業者数は216名なのに対し、開成高は発表されていませんが、生徒定員が1,200名のため、1学年の生徒数(≒卒業者数)はおよそ400名だと推測されます。

このように、そもそも全体の生徒数が大きく違うため、「合格率」の低い開成高のほうがより多くの合格者を輩出していても不思議ではないのです。このことから、「合格者数」のランキングは、生徒数が大きい高校のほうが上位に入りやすいことが分かります。

ならば、「率」すなわち割合や確率にさえ注目していれば良いのでは?と思われるかもしれません。しかし、極端に生徒数が少ない場合、1人合格者が増減するだけで大きく「合格率」は変化します。割合や確率は、ある程度「分母」が大きくないと信用できない場合もあるのです。

以上のことから、複数の数値・状況を比較するときには「率」と「数」の両方を見たほうがよいことがわかります。

「率」の計算方法をカン違いしているケースも

ただ、「率」といっても自分が想像している計算方法ではない場合もあります。

何十年も前から言われている、日本の食料自給率の低さ。現在では40%を切っているそうですが、そもそも食料自給率はどのように算出されているかご存知ですか?

食料自給率の算出方法は、少なくとも3種類存在します(表参照)。日本の食料自給率が40%を切っている!と言われているのは、カロリーベースで算出した場合です。この算出方法の問題点は、カロリーの高い食物ばかり重視され、野菜など低カロリーなものはほとんどカウントされない点です。現に、スーパーの肉売り場には外国産の牛・豚が多く並んでいますが、野菜売り場はむしろ国産のものをよく見かけるため、食料自給率が40%を切っているという事実には違和感を覚えます。

一方、生産額ベースの場合、単価の大きい食料ほど影響が大きいのですが、肉・米・野菜や果物などの種類によって偏ることはあまりありません。また、主要先進国の多くの国ではこの算出方法が使われているため、諸外国と比較するならば生産額ベースで行うべきです。

また、重量ベースで算出する場合は、重い穀物などに大きく影響されるため、品目別・種類別に比べるときは有効だとされています。

このように、「率」の計算方法をそもそも誤解していたり知らないケースも多々あるため、特に自分にとって重要だと思う「率」については、その算出方法を調べることも大切です。

大沼 宏和|おおぬま ひろかず

略歴
1982年 青森県生まれ
2001年 高松高校 卒業
2005年 神戸大学工学部 卒業
2007年 神戸大学大学院自然科学研究科 修了
香川県の予備校勤務を経て
2016年 HOP 設立
写真
大沼 宏和|おおぬま ひろかず

将来展望型学習塾HOP

住所
香川県高松市太田上町1060‐11 太田第一ビル
代表電話番号
087・880・4159
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URL
https://www.hopforhope.info
確認日
2021.07.01

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